「普段使っていないものは緊急時に役に立たない。高齢者ほどハードルが高い」

 7月15日にあった島根県原子力安全顧問会議の避難対策小会議。中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)で事故が起きた際に、安定ヨウ素剤の服用指示をどう伝えるかを議論する中、横浜国立大客員教授の野口和彦(66)=原子力防災=が県の方針に疑問を投げ掛けた。

 島根県はテレビやラジオのほか、携帯電話とスマートフォンに緊急速報メールを配信し、ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)を駆使して情報を周知すると説明した。

 しかし、高齢化率の高い山陰両県ではメールやSNSの操作に不得手な住民は多く、課題は山積する。

 新型コロナウイルスワクチンの接種予約を巡る騒動がそれを物語る。

 各自治体は今春、高齢者の接種開始を前に、インターネットによる予約受け付けシステムを導入。接種を希望する人の利便性の向上と処理...