現代日本画の秀作を鑑賞する来館者=安来市古川町、足立美術館
現代日本画の秀作を鑑賞する来館者=安来市古川町、足立美術館

 現代日本画壇を代表する作家の秀作が並ぶ「第76回春の院展」(日本美術院、足立美術館、山陰中央新報社、TSKさんいん中央テレビ主催)が21日、安来市古川町の足立美術館新館で開幕した。日本美術院同人の新作をはじめ、一般公募の入選作を含む144点が美術ファンを魅了する。9月5日まで。

 美術団体・日本美術院による日本画の公募展で、全国の主要都市などを巡回する。足立美術館は大作が多い再興院展を毎年開くが、小品中心の春の院展は初開催となる。

 会場には田渕俊夫さん、手塚雄二さん、國司(くにし)華子さんといった同人の作品33点のほか、島根県出身の川﨑麻央さんや染谷香理さん、足立美術館の足立知美副館長の入選作も展示され、来館者の注目を集める。

 最優秀に当たる春季展賞(郁夫賞)に輝いた吉村佳洋さんの「序奏」は、静かにたたずむ女性と、幸運を呼び込む使者のクモを描いた作品で、巧みな色彩表現と画面構成で独自の世界を創(つく)り上げた。女性の寂しげな様子を幻想的に描き、第12回春の足立美術館賞を受賞した永吉秀司さんの作品「彼岸の雫(しずく)」も目を引く。

 木佐布由実学芸員は「春の院展には、斬新な構図やテーマに挑戦した作品が多い。再興院展とはまたひと味違った魅力を楽しんでいただきたい」と話した。

 会期中無休。午前9時から午後5時半。入館料は一般2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。土曜は小中高生無料。本館や魯山人館で開催中の展覧会、米国の専門誌で18年連続日本一に選ばれた日本庭園も鑑賞できる。   (渡部豪)