刷り上がった新聞を手に輪転機を見学する参加者=出雲市斐川町上庄原、山陰中央新報製作センター
刷り上がった新聞を手に輪転機を見学する参加者=出雲市斐川町上庄原、山陰中央新報製作センター

 夜の新聞工場見学会が12日、出雲市斐川町上庄原の山陰中央新報製作センターであり、親子連れ16人が新聞の役割と自宅に届くまでの流れを学んだ。

 最初に座学があり、製作センターの担当者が、新聞の意義について「記録性があり、災害や事故を読者に自分の事として考えてもらい、風化させない役割がある」と説明した。40年前に発生した日航ジャンボ機墜落事故の取材に携わった経験にも触れた。防災や安全を実現するため、事実を報道していくことが大切とする一方で、当時、被害者や遺族への過熱報道が問題化したことも挙げ、情報を扱う責任の重さを伝えた。

 参加者は取材した記事がレイアウトされ、センターにデータが届く工程の説明を受け、印刷現場に移動。アルミ製の刷版に翌日の紙面データが写され、輪転機が回る様子を見学した。延ばすと全長19キロあるというロール紙に、建物4階分の巨大な機械を通して記事が印刷され、次々と新聞が刷り上がっていく様子を食い入るように見入った。

 出雲市斐川町三分市の会社員、木村香奈さん(42)は「自宅が近くで、どんなことをしているか気になっていたので、とても有意義だった」と話した。娘の斐川東中2年、優陽さん(13)は「たくさんの人の手で作られていることが分かった」と感心していた。

(佐野卓矢)