松江市袖師町の島根県立美術館で開催中の企画展「誕生140周年 川端龍子(りゅうし)展」の閉幕が25日に迫り、来館者はスケールの大きな作品をじっくり鑑賞している。
川端龍子(1885~1966年)は、展覧会向けに描く大画面の「会場芸術」の概念を打ち出し、近代日本画の巨匠と呼ばれる。会場には11~14歳ごろの手習い書から晩年の作品まで約60点を飾る。
川端が立ち上げた日本画団体・青龍社の第11回展覧会(1939年)で発表した「香炉峰」は、画面いっぱいの戦闘機を透けさせ、香炉峰や長江を見下ろす、横7・2メートルの戦争画。「爆弾散華(さんげ)」は、爆弾で吹き飛んだ植物を描き、戦争で失われた多くの命への追悼を込めた。優美な裸婦像の「山葡萄(ぶどう)」など発想力豊かな作品も並ぶ。
長崎県大村市の会社員、中川有二さん(48)は「スケールが大きく迫力があった。いろいろな作風を日本画で表現ができるのもすごい」と話した。
企画展は島根県立美術館、山陰中央新報社などが主催する。開館時間は午前10時~日没後30分で、火曜休館。当日券は一般1450円、大学生1100円、小中高生500円。
(森みずき)