山車を引いて練り歩く月の輪神事の参加者=安来市安来町
山車を引いて練り歩く月の輪神事の参加者=安来市安来町

 安来市伝統の「月の輪神事」が14日夜、同市安来町で始まった。地元住民が山車4基を引き「みんな出てきて手伝ってくれ」という意味の「エンヤ、エンヤ、デゴデットーヤ」とのかけ声を発し、夜遅くまで中心市街地を練り歩いた。17日まで。

 9日開幕した「やすぎ月の輪まつり」の核をなす神事。約1300年前、安来郷の伴造(とものみやつこ)(首長)であった語臣猪麻呂(かたりのおみいまろ)の娘がサメに足を食いちぎられ亡くなり、猪麻呂が矛で退治したという出雲国風土記に記述があるエピソードにちなむ。

 かがり火をたいた娘の慰霊祭に端を発し、現在も4日間行われる。仕留めたサメを矛に刺して道ばたに立てかけた形が三日月のようだったことから、月の輪神事といわれるようになったと伝わる。

 地元の大市場、新町、西御幸、八幡町の4町内会の住民がそろいの法被を着用。三日月形のあんどんや矛、ちょうちん、安来の氏神の名前を記したのぼりで彩られた高さ約5メートルの山車とともに繰り出した。

 月の輪神事奉賛会の今田茂治会長(70)は「未来永劫(えいごう)続けるという永代願がかけてあり、コロナ禍でも続けた。若い世代に伝えたい」と思いを語った。

 (中山竜一)