満州事変の翌年、1932年に満州国の建国が宣言された。日本人も含む五つの民族が力を合わせる「五族協和」と「王道楽土」をスローガンに掲げ、中国東北部にできた新しい国だ。その実態は日本陸軍の駐屯部隊「関東軍」が実権を握る日本の傀儡(かいらい)国家だった。

 開拓のため政府は移民を募った。「拓(ひら)け満蒙! 行け満州へ!」。満蒙開拓団は歓呼の声に送られ出兵するように故郷を離れた。大陸に渡ったのは終戦の年まで満蒙開拓青少年義勇軍も含め約27万人とされる。

 なぜこんなに多くの人が大陸に渡り、約8万もの命が失われたのか。その実相を知ろうと長野県阿智村に...