国内外で高い評価を得ている作家の小川洋子さんが6年ぶりの長編小説「サイレントシンガー」(文芸春秋)を刊行した。「アカシアの野辺」と呼ばれるコミュニティーに暮らす沈黙を愛する人々と、彼らのそばで育った主人公リリカの歌を巡る物語。「世の中に認めてもらうために頑張っているわけではない人を書きたかった」という小川さん。執筆の経緯や刊行後の思いを聞いたインタビューの中で、理想とする“作家像”や、若い頃からずっと好きだった、あるシンガー・ソングライターについても語ってくれた。(共同通信=米田亮太)
▽今は言ったもの勝ちみたいな時代
―6年ぶりの長編ですが、1行目が書かれるまでの着想...