抑留中の山本幡男(左から2人目)と仲間を演じる生徒たち=島根県西ノ島町浦郷、ノアホール
抑留中の山本幡男(左から2人目)と仲間を演じる生徒たち=島根県西ノ島町浦郷、ノアホール

 中学生によるふるさと演劇発表会がこのほど、島根県西ノ島町浦郷のノアホールであった。映画「ラーゲリより愛を込めて」で話題になった山本幡男(1908~54年)と、島前神楽が培う愛郷心をテーマにした2演目が上演され、住民約250人を感動させた。

 演劇を通して地域の歴史文化や課題を学ぶ西ノ島小中学校の独自の取り組みで、19回目になる。脚本は教員が書き、演者や照明、音響といった役割を中学部の全48人が分担し、稽古を重ねた。

 終戦後、極寒のシベリアに抑留された山本幡男は過酷な状況でも帰国への希望を仲間に失わせなかった。病に伏せる中で、妻への遺言を仲間に伝える感動の史実を生徒らが演じた。

 島前神楽をテーマにした演劇は、同町出身の大学生が教育実習で帰郷し、神楽の稽古に熱中する中学生たちの姿に接して古里への魅力を見いだす。

 山本幡男の妻・モジミ役を演じた3年、山根一夏(いちか)さん(15)は「発表が終わりとても達成感がある。終わって安心したし、楽しかった」と話した。 (鎌田剛)