来場者に作品を案内する基常恵子さん=出雲市天神町、今岡美術館
来場者に作品を案内する基常恵子さん=出雲市天神町、今岡美術館

 人形を制作する基常恵子さん(76)=雲南市加茂町加茂中=の企画展が、出雲市天神町の今岡美術館で開かれ、昭和の風景を彩る愛らしい作品が来場者を癒やしている。10月5日まで。

 基常さんは小売店を営む傍ら趣味の手芸を生かし、51歳で古布を使った人形作りを始めた。ふくよかで表情が穏やかな独特の作風が人気で、県内各地で作品展が開かれている。

 「もとつねけいこと夢を運ぶ仲間たち」と題した今回は、1970年代の雲南市加茂町の商店街をテーマにした新作など約100点を展示した。

 制作に半年かけたという商店街の作品は魚や果物、げたなどを店頭に並べて、笑顔で接客する店主をはじめ、子守をしながら店に立つ女性などを人形で表現し、当時の活気や温かな人間関係を伝えている。基常さんの少女時代の農村、昭和30年代の婚礼を題材にした作品もある。

 鑑賞した出雲市里方町の岩﨑洋子さん(90)は「加茂町出身なので、とても懐かしく感じた」と話した。

 基常さんと親交のあった木目込み人形作家の原芳江さんの遺作や、手芸仲間でつくる「ちくちくの会」の作品、市内在住の画家・手銭巧さんの絵画も展示している。入場料は一般・大学生600円、高校生以下無料。月曜休館。

 (佐野卓矢)