2015年夏、大阪府の女性は、府内のクリニックで不妊治療を続けていた。この日、エコー検査をしていた医師が悲鳴のような声を上げた。

 「1、2、3…うそでしょ。ありえない!」

 医師の次の言葉を聞いた女性は絶句する。

 「妊娠しています。五つ子を」

 これまでの治療で使ったのは排卵誘発剤だけ。双子や三つ子といった「多胎妊娠」をする可能性については説明されていなかった。妊娠はうれしいが、まさか5人とは。医師は続けてこう言った。

 「全員産んだら、あなた死ぬよ」

 多胎妊娠は母子ともにリスクが高い...