ウグイスの鳴き声が、せみ時雨にかき消される。7月下旬。東京から車で2時間ほどの山間で、旋盤とかんなの音が響く。埼玉県皆野町に、イスラエル出身のダニー・ネフセタイ(68)が自宅兼家具工房「ナガリ家」を構える。ヘブライ語で木工房という意味だ。

 朝食を終えて工房に立ったダニー。ちゃぶ台の土台にする木の部材を手にすると柔和な表情が一変、鋭い目つきになった。「まだ反りが残っている」。表面を素手で触り、感触を確かめながら、かんなで何度も削る。素材は国産の...