このたび発表された令和7年「秋の叙勲」において、彩雲堂の和菓子職人であり、現代の名工でもある大江克之が黄綬褒章を受章いたしました。和菓子職人としての黄綬褒章受章は、島根県内では2人目となります。

彩雲堂本店職人ブースで提供メニューを作る大江克之
株式会社 彩雲堂(本社所在地:島根県松江市)は、当社の和菓子職人・大江克之が、令和7年秋の叙勲において「黄綬褒章」を受章したことをお知らせいたします。
大江は和菓子職人として46年の経験を重ね、「現代の名工」としても知られる職人です。伝統的な技法を大切にしながら、チョコレートやフルーツなど洋の素材を取り入れた新しい和菓子づくりにも挑戦。後進の育成や地域の和菓子文化の継承にも力を注いできました。
今回の受章は、長年にわたる技術研鑽と地域文化への貢献が高く評価されたものです。
現在は、彩雲堂本店の茶寮メニューの開発と製造を手がけるほか、
島根県菓子技術専門学校の講師として、後進の育成にも携わっています。
本店に併設された職人ブースでは、外から大江の手仕事をご覧いただくことができ、
窓辺には工芸菓子や季節の生菓子などの作品が並び、訪れる人の目を楽しませています。

秋の茶寮メニュー 和栗モンブラン(津和野産の栗を使用)
🔹お菓子作りの面白さを知った元自衛隊員
大江は、自衛隊から和菓子の道に進んだ異色の経歴の持ち主です。
幼い頃からプラモデルやラジコンなど、ものづくりに親しみ、手を動かして形を生み出すことに魅了されていました。
1979年、自衛隊を退職する際の就職支援で「和菓子部門」の案内に興味をもち、
当時は再就職先として建設関連への業種が多かった中で、目新しさを感じて体験に行ったそうです。
体験は半年ほどの期間でしたが、そこで季節の変化を表現した鮮やかな色合いや美しい造形の生菓子、
そして黙々と菓子づくりに打ち込む職人の姿に強く心を動かされ、
“つくることの面白さ”を再発見しました。
和菓子は、どんな形にも変化させることができ、作ることに飽きがこない。
その時感じた思いは、今も変わりません。
その後、知人の紹介で彩雲堂へ入社しました。
🔹基礎は代表銘菓「若草」

若草

若草の求肥を銅釜で練る
1979年7月、彩雲堂に入社。
入社後は、代表銘菓「若草」の求肥づくりや、餡場(あんば)と呼ばれる餡の製造部門で修業。
当時は「見て覚える」指導が中心で、家に材料を持ち帰って包餡の練習を重ねたといいます。
和菓子は、色・形・味を自在に変えられるのが魅力。
その奥深さに引き込まれながらも、挫折を経験することもありました。
しかし、その都度「今が悪くても、そのうちいいことがある」という先輩の言葉に励まされ、
“おいしいお菓子でお客様に喜んでいただきたい”という思いを胸に歩みを続けてきました。
🔹お茶とお花から学ぶ、もてなしの心
季節を表現する和菓子職人としての感性を磨くため、
茶道や華道を学び、盆栽や山歩きなどを通して自然の色や形にも目を向けてきました。
その観察や体験が、生菓子や工芸菓子の作品づくりに活かされています。

工芸菓子(2019年作品)

工芸菓子(2020年作品)
🔹洋の素材を、和の製法で生かす
時代や嗜好の変化に合わせて、洋の素材を取り入れた新しい和菓子にも挑戦してきました。
大江が開発に携わったお菓子はたくさんありますが、現在でも販売しているものをご紹介します。
●願ひ菓子(2013年/出雲大社遷宮記念)
丸みを帯びた出雲勾玉の形をした、いちご・ココア・柚子・和三盆・抹茶の味わいの干菓子。
若い女性層にも親しみやすい味とパッケージで開発し、
「島根のご縁スイーツ」として人気を集めています。

原材料・和三盆糖の干菓子「願ひ菓子」

5つの味わい いちご・抹茶・和三盆・柚子・ココア

2024年よりパッケージリニューアル
●だんだん(2019年発売)
チョコレートや生クリームを白餡に合わせた“チョコ餡”と、
抹茶・ホワイトチョコ・白餡を合わせた“抹茶餡”の2種。
洋菓子の素材を和の製法で活かし、日常に寄り添う新しい和菓子として誕生しました。
*「だんだん」とは、出雲の方言で「ありがとう」の意味、感謝を表す言葉です。

だんだん(抹茶餡・チョコ餡)

だんだん(チョコ餡)

だんだん(抹茶餡)
●チョコレート羊羹「まちねこ」(2018年)
「まちねこ」は、銀座松屋でのバレンタイン用催事の和菓子として誕生したチョコレート羊羹です。
『和菓子をもっと身近に、幅広い年齢層に向けて知ってもらいたい』と思い開発した、和洋折衷のお菓子。
誕生以来、デザインは少しずつ変化していますが、チョコレートの風味と小豆のバランスは大江の配合が今も息づいています。
▼販売期間 1月中旬~2下旬
●エスプレッソ羊羹(2019年)
エスプレッソ羊羹は、地元のコーヒー専門店とともに、豆の抽出法から試作を重ねた完成させました。
エスプレッソの香りが引き立つよう配合を追求し、手に取りやすいスティック状の“乾いた羊羹”として好評を博しています。
▼現在は、催事限定での販売

チョコレート羊羹「まちねこ」(2024年デザインリニューアル・販売期間1月中旬から2月下旬)

エスプレッソ羊羹(催事限定販売)
🔹最新作 小泉八雲も愛した「プラムプディング」
現在、大江は本店茶寮で和菓子を提供しています。
最新作は、小泉八雲が愛したイギリスの伝統菓子「プラムプディング」。
サンラポーむらくもの総料理長・照沼英則氏が八雲の著書『クレオール料理読本』を手がかりに
レシピを再構築し、大江が和の技法で繊細に仕上げました。

「サンラポーむらくも」総料理長・照沼英則氏(右)との打合せの様子
10種類のドライフルーツやラム酒、ブランデー、香辛料などを加え、
カヌレ型にして焼き上げた香り高い焼き菓子です。
現代の日本人の好みに合うように、元のレシピにあった牛脂をバターに、パン粉を薄力粉に変えました。また食感を楽しんでもらえるようにナッツなども加え、何度も試作を重ね、作りあげました。
大江が吟味した素材がぎゅっと凝縮したお菓子になっています。
茶寮では、香りをより楽しんでいただくため、温めてご提供しております。
地元の紅茶専門店「パンジェンシー」さんが、開発した八雲夫妻をイメージした特別ブレンドティーと合わせて召し上がっていただけます。
▼紅茶:「オープンマインドブレンドティー」
小泉八雲出身のギリシャのハーブ「シデリティス」と妻・セツの出身地松江の「紅ふうき」と
いう和紅茶を合わせたブレンドティー。
茶寮では12月21日まで、「プラムプディング」のほか「和栗モンブラン」や季節の生菓子をお楽しみいただけます。

プラムプディング

プラムプディングと紅茶セット(本店茶寮)
🔹大江克之・受章についてのコメント
受章の知らせを聞いた時は、大変驚くと同時に、これまでやってきたことを評価していただけたことをとても嬉しく思いました。大変名誉なことだと思っております。
子どもの頃からプラモデルやラジコンなど、部品から組み立てる“ものづくり”が大好きでした。
特にお菓子づくりは、私にとってまったく飽きのこない世界です。色や形、さまざまな表現を思いのままお菓子に込めることができる--和菓子職人という仕事は、私の人生に楽しさと生きがいを与えてくれました。
始めた当初は「ただ作りたい」という気持ちで夢中でしたが、年月を重ねるうちに、後輩に教えたい、お客さまに喜んでもらいたいという思いがどんどん強くなりました。
今では、和菓子教室などを通じて、子どもたちに松江の和菓子文化を伝えていきたいという気持ちが大きいです。
「松江には和菓子があったなぁ」といつか懐かしく思い出してもらえるような記憶を、子どもたちの中に残したい--そんな願いをもって取り組んでいます。
これからも、より多くの方に喜んでいただけるよう、いっそう精進してまいります。
【彩雲堂について】
2024年に創業150年を迎え、島根県松江市に本店を構える和菓子店です。
代表銘菓「若草」は、茶の湯を愛した松江藩7代藩主・松平不昧公ゆかりのお菓子として広く親しまれています。四季折々の生菓子や創作菓子など多彩な和菓子をお届けしています。
また職人の技術研鑽にも力を入れており、全国和菓子協会が主催する「選・和菓子職」の合格者や「現代の名工」も輩出しております。(2025年現在、選・和菓子職7名、うち現代の名工1名在籍)
彩雲堂職人紹介 https://www.saiundo.co.jp/skilltransfer/craftsman.php
彩雲堂150年のあゆみ https://prtimes.jp/story/detail/bDz517TLJjx
公式ウェブサイト:https://www.saiundo.co.jp/
ウェブショップ:https://netshop.saiundo.co.jp/
メール:info@siaundo.co.jp
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