2018年7月、24歳だった和田翼さんは病院のベッドで目を覚ました。顔は傷だらけでぼろぼろ。医者に「よく生きていたね」と声をかけられた。
脳に深刻なダメージを負い、1カ月ほどの記憶が飛んでいた。それどころか、名前を聞かれても分からない。年齢や職業を答えたが的外れ。自分がどう生きていたか、全く覚えていなかった。
味覚を失い、何を食べても味を感じない。右目で見るとモノが小さく見え、左目は大きく見えた。左右のバランスが非対称で、両目で見るとピントが合わなかった。
自分は誰なのか。その答えが出たのは約1カ月後。...













