「割り込んですみません。でも、いつまで待つんですか?」

 9月下旬、大分市で開かれたひきこもりの子どもを持つ親たちの交流会。ひきこもりについて長く取材してきたジャーナリストに、1人の父親が問いかけると、その場が緊張感に包まれた。

 内閣府の推計によると、ひきこもりの人は全国に146万人いるとされる。強制的に部屋から連れ出すような「引き出し屋」による対応や、無理な就労は当事者のトラウマになる可能性があり、逆効果であることがだんだんと知られてきた。

 一方でひきこもりが長期化し、親が80代、子どもも50代と高齢になって困難を抱える「8050問題」も深刻だ。子どもが社会に戻る日を、親は一体いつまで待てばいいのか―。(共同通信=佐藤高立)

 ▽「あなたはありのままでいい」というメッセージを

 家族の会「おおいたステップの会」が主催した「対話交流会」に招かれたのは、ひきこもりについて30年近く取材してきたジャーナリストの池上正樹さんだ。ひきこもりの子を持つ親に加え、地元の社会福祉協議会の職員など、計15人が参加した。

 池上さん...