世界選手権大会に向けクライミングジムで練習に励む岡田卓也さん=大阪市中央区
世界選手権大会に向けクライミングジムで練習に励む岡田卓也さん=大阪市中央区

 東京パラリンピックで注目が集まるパラスポーツの一つ、パラクライミングの世界選手権大会に出雲市斐川町出身の岡田卓也さん(31)=大阪市中央区=が「神経障害」の日本代表として初出場する。熱中できる競技との出合いを喜び、15日にロシアで開幕する大会での奮闘を誓う。
 パラクライミングは、ホールドと言われる突起物が付いた約15メートルの壁を、手足を使って6分間でどこまで登れるかを競う。東京五輪ではスポーツクライミングとして正式種目になり、2028年のパラリンピックの正式競技化を目指す。
 岡田さんは小学3年時に髄膜脳炎を患い、体幹機能と右手に障害が残り、右手が自分の意思でスムーズに動かない。競技と出合ったのは19年10月、大阪市内の自宅近くにあったクライミングジムで、車いす利用者が両腕を使って登る様子に興味がわいた。
 趣味で始めた競技への考えが変わったのは、出場した国内大会。自分より重度の障害者が体の使い方を工夫して登る姿に衝撃を受けた。「障害があるからできないのが当たり前」と自らつくっていた限界は、突破できるものと感じた。
 自身の障害は、一日の中でも出方や強さが変化し、その都度、体の使い方を変える。「クライミングは人によって登り方が違うのが魅力。使える部分が限られるパラは考えることが多いのが面白い」。負けず嫌いも相まって、一日3時間、週3、4日、ジムに通って技術を磨いた。
 子どもの頃は障害で字を書くのが遅くなって成績が落ち、運動も以前のようにできなくなった。友人も次第によそよそしくなり、つまらなくなって中学校は不登校。高校も特別支援学校や定時制などに通い、好きなスポーツも満足にできなかった。それだけに、ようやく打ち込める競技と出合い「パラクライミングで、これまでを取り戻したい」と話す。
 3月に広島県内であった日本選手権大会で記録が基準を超え、世界選手権8人の代表切符を手にしたが、同クラスの出場者は1人だけ。国際大会で上位になってこそ意味がある、と言い聞かせる。
 「まだ何も実績は残していない。世界でどれだけ通用するのか、好成績を残して自信にしたい」と今後の競技人生で飛躍になる大会にしたいと意気込む。
 (松本直也)