行動制限緩和の基本方針
行動制限緩和の基本方針

 政府は9日の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、希望者のワクチン接種が完了する11月ごろをめどに実施する行動制限緩和の基本方針を決定した。ワクチン接種などを条件に、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ旅行や大規模イベント開催を認める。飲食店の酒類提供も容認する。接種などの効果で感染者が増えても医療逼迫(ひっぱく)は起きにくくなると判断。コロナ下での日常生活や経済活動の回復に向けた取り組みを進める。

 

 菅義偉首相は対策本部で「医療体制を確保し、治療薬とワクチンで重症化を防いでいく」と表明。その後の記者会見で「ウィズコロナの社会経済活動を進めていく必要がある」と訴えた。

 基本方針では、マスク着用といった基本的な対策は維持するとともに、ワクチンを接種しない人が不利益を受けないよう配慮すると明記した。新たな変異株の流行などによって感染が急拡大した際は強い行動制限を機動的に行う。

 制限緩和は段階的に行う方針で、当面の経過措置として、まん延防止等重点措置の地域で一定の要件を満たした飲食店に酒類提供や営業時間延長を認める。運用上の課題を整理するため、実証実験を10月にも実施する。

 制限緩和には、ワクチンの2回接種が完了した接種済証かPCR検査などの陰性証明の提示を求める仕組み「ワクチン・検査パッケージ」を活用する。イベントではQRコードを使った感染経路の追跡なども求めた上で、宣言と重点措置の地域で原則5千人の上限を緩和。それ以外の地域では制限を撤廃する。宣言地域での大学などの部活動や感染リスクの高い課外活動も原則可能にする。

 ワクチン接種済みか検査で陰性だった人には、緊急事態宣言下でも都道府県をまたぐ移動を認める。パッケージを活用して「Go To トラベル」のような観光振興策も検討する。

 一定の感染対策を保証する第三者認証を受けた飲食店には、酒類提供や営業時間の延長を認め、パッケージを活用すれば、大人数での飲食も可能とする。