若者へのワクチン接種促進の取り組み
若者へのワクチン接種促進の取り組み

 新型コロナウイルスの流行「第5波」で感染が目立つ10~30代の若者へのワクチン接種について、47都道府県庁所在地(東京は新宿区)のうち45市区(96%)が接種促進に取り組んでいるか検討中であることが11日、共同通信の調査で分かった。感染力の強いデルタ株が猛威を振るう中、感染拡大を抑えるためには若い世代への接種加速が不可欠とみて自治体が工夫する姿がうかがえる。

 夜間や土日の接種時間を拡大するなどの対策を進める。ワクチンは重症化リスクの高い高齢者が優先され、多くの自治体では若者への接種は本格化したばかり。課題として「デマへの懸念払拭(ふっしょく)」や「情報提供」が挙がった。調査は6~9日、47市区に実施した。

 若者への接種促進の取り組みを「している」と回答したのは松江、鳥取など42市区。「検討中」は横浜、長野、神戸の3市で、夜間の接種会場設置などを調整している。札幌、山口の2市は「していない」と回答した。

 取り組みの内容(複数回答可)は「平日夜間や土日などの時間帯を拡充」が31市区で最多。「若年層を対象とした接種スケジュールの前倒し」は22市区。「優先接種の対象に加える」とした10市のうち、盛岡や長崎は大学受験を控える高校生などを対象とした。

 課題を複数回答で聞いたところ、36市区が「副反応やワクチンに関するデマへの懸念払拭」、34市区が「きちんと届く情報提供」を挙げた。

 政府が検討しているワクチン普及後の行動制限緩和策が若者の接種につながるかを尋ねると「思う」が17市、「どちらとも言えない」が30市区で懐疑的な見方が多かった。

 また、45市区が妊婦に対する接種促進の取り組みをしていると回答。31市区は「優先接種の対象に加える」、21市は「妊婦健診を行う医療機関への働きかけ」を通じて促しているとした。

 希望者全員への接種が完了する時期は「10月中」が鳥取など10市、「11月中」が松江など34市区と最多。名古屋と佐賀は「12月中」だった。