フィリピンの首都マニラから北に約50キロの都市サンイルデフォンソに、外壁の色の特徴から「赤い家」と呼ばれる2階建ての洋館がある。太平洋戦争での日本の降伏まで1年を切った1944年11月、ここは旧日本軍兵士による集団性暴力の現場となった。

 過去の反省に根ざした平和外交をアピールしてきた戦後日本の姿勢も奏功し、今やフィリピンは世界有数の親日国だ。しかし、日本の侵攻による犠牲者は推定約110万人に上る。全土でさまざまな残虐行為が語り継がれ、中でも赤い家は、暴力に駆り立てられた人間の狂気を戒める象徴的な戦争遺跡として広く知られるよ...