映画『ノマドランド』で「第93回アカデミー賞」作品賞・監督賞を受賞し、最新作『ハムネット』(4月10日公開)が「第98回アカデミー賞」8部門にノミネートされているクロエ・ジャオ監督と、日本の映画監督・李相日(『国宝』)のスペシャル対談映像が解禁された。両監督は昨年開催された「第38回東京国際映画祭」で黒澤明賞を受賞したことをきっかけに交流を深め、今回の対談が実現した。
【動画】李相日監督×クロエ・ジャオ監督の特別対談
『ハムネット』は、英作家マギー・オファーレルの同名小説を映画化した歴史ドラマ。16世紀のイギリスの小さな村を舞台に、薬草の知識に長けた妻アグネス・シェイクスピアと、劇作家としてロンドンで活動する夫ウィリアム・シェイクスピア、そして3人の子どもたちの姿を描く。夫不在のなかで家族を守るアグネスのもとに、ある日大きな悲劇が訪れ、物語は大きく動き出す。
「『国宝』を見て、泣いてしまいました」「僕が『ハムネット』を観た時と同じ状態になってる」―第38回東京国際映画祭において、共に<黒澤明賞>を受賞したことをきっかけに実現! この度解禁されるのは、クロエ・ジャオ監督と李相日監督(『国宝』)によるスペシャル対談映像。
今回公開された対談映像では、芸術家の宿命や創作の本質をめぐり、互いの最新作について語り合う姿が収められている。李監督は『ハムネット』について「精緻でありながら人間の深層に届く作品」と称賛し、「シェイクスピアという文学と舞台芸術、そして人間の魂が高いレベルで結びついている。映画でこんな表現が可能なのかという衝撃を受けた」と評価。
一方、ジャオ監督は『国宝』を観て、芸術家の“天才神話”を解体する視点に共通点を見いだしたという。「(芸術の)裏側にあるのは決して綺麗事ばかりではない。肉、血、骨を持った等身大の人間としての儚さ」を描いたからこそ、「(『国宝』は)多くの人の心に届いた」と称賛した。
また両作に共通する点として、芸術家が誰にも見えない“風景”を追い求める孤独や内面の闇といったテーマを挙げた。李監督は、『ハムネット』に登場する森の“黒い穴”が主人公アグネスの内面のみならず、芸術に携わる人間が抱える内的な闇を象徴していると指摘。ジャオ監督も「私たちは“景色”について語っている」と応じ、表現方法は違えども目指すものの近さに共鳴したという。
さらに『ハムネット』を準備する前のタイミングで歌舞伎について研究していたことを明かしたジャオ監督。「その時に女性が蛇に変わる話を見つけました。鐘が重要なモチーフでした。私はそれがすっかり気に入ってしまい、プロデューサーに鐘を登場させたいとお願いしました」「だから『ハムネット』にもわずかながらも歌舞伎の影響がある」「初めて歌舞伎の舞台を観劇して、感銘を受けたんです」と明かす一幕も。
演出やキャスティングについての話題に及ぶと、李監督は『国宝』では「まず“型”を徹底的に身体に叩き込むこと」を重視したと説明。「体に全て染み込ませた後に、何かそれ以上の観念的なものがこう立ち上ってくるっていう思想があるように僕は受け取っている」「まずはその型を2人(吉沢亮、横浜流星)に徹底的に習得してもらうことが第一条件」だったと伝えた。
それに対しジャオ監督は「キャスティングが映画の80%を決める」と語る。そして、配役を決めた後に俳優の人間性を活かす形で脚本を構築する自身の手法を明かし、主演のジェシー・バックリーに対しては「夢の中で作業するかのようなボディワーク」を依頼、「ジェシー・バックリーという役者とアグネスという役の境界を無くすような」「ジェシーはその境界にとどまることができた。意識と無意識の間・知っていることと知らないことの間。だから全ての瞬間が存在しています」と言い、「だから李監督が型が重要だと言ったことに私も同意します。 深淵に存在が生まれるようにね」と話している。
両監督の創作姿勢や哲学についての質問が交わされ、互いの創作の根源へと踏み込む、示唆に富んだ対話となっている。
本作は「第83回ゴールデングローブ賞」で作品賞(ドラマ部門)と主演女優賞を受賞したほか、「第98回アカデミー賞」でも作品賞、監督賞、主演女優賞など主要部門を含む8部門にノミネート。主演はジェシー・バックリー、共演にポール・メスカル、エミリー・ワトソン、ジョー・アルウィンらが名を連ねる。製作にはスティーヴン・スピルバーグとサム・メンデスが参加している。
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