好天に恵まれた3連休最終日の20日、山陰両県の観光地は、旅行客や地元の家族連れが繰り出す姿が見られた。県外客が目立ち、新型コロナウイルスの感染拡大の第5波が低下傾向となる中、ワクチンの2回接種を終えた人たちなどが「羽を伸ばしたい」と遠出する動きが出てきた。
松江市殿町の松江城周辺のコインパーキングは、神戸や岡山など県外ナンバーの車が並んだ。18、19の両日の天守の入場者は先週の土日と比べ5倍の計2千人。20日も登城する人が多かった。
JRの寝台特急サンライズ出雲で東京都から夫婦で松江城を訪れた自営業の男性(65)はワクチン接種を終えており、接種証明書をラミネート加工して持参した。旅先で東京から来たことをとがめられたとき、すぐに出せるよう財布に忍ばせる。東京など19都道府県に緊急事態宣言が出ている中での旅行には「複雑な気持ちもある」としながらも「ワクチンを2回打ったので伸び伸び楽しみたい」と話した。
出雲大社門前の商店などでつくる「神門通りおもてなし協同組合」によると3連休中日の19日が入り込みのピークで、神門通り(出雲市大社町杵築南)は渋滞し、そば屋に列ができた。田辺達也理事長(63)は「GoToキャンペーンがあった昨秋以来の光景。みんながまんの限界を超えて、外に出たがっているのだろう」と察した。
水木しげる記念館(境港市本町)は18、19の両日、前週土日の2・7倍の計977人が来館した。
一方、水族館アクアス(浜田市、江津市)は来館者の5割を占める広島県からの客が少なく、3日間で計5067人と感染拡大前の2019年の半数にとどまった。同県には緊急事態宣言が出ており、県外往来の自粛を守る人も多いとみられる。
(木幡晋介)