バイオマスボイラーの原料となる木材チップ=北海道下川町(資料)
バイオマスボイラーの原料となる木材チップ=北海道下川町(資料)

 製材所の隅に立派なマツの丸太が積み上げられていた。島根県産のマツ材だ。「良い値で取引されて立派な豪邸になりますか」と聞くと「チップにして、バイオマス発電で燃やす予定です」との答え。思わず「もったいない」と言ってしまった。

 木材は建材に使いやすいサイズなら高値が付くが、大き過ぎると逆に値段が下がることがある。さらに国が価格を保証するバイオマス燃料に出す方が林業経営は安定する。残念ながら、これが現実だ。

 価格保証は再生可能エネルギー政策として導入された。現在では国産材の約3割が燃料材に回るが、ここで問題が発生した。間伐や伐採現場に出る未利用材、建築廃材などを使う計画が、製材の手間も市場に左右される心配もないので、立派な丸太まで一緒に出されることがある。

 建築、木材加工など既存の需要者との軋轢(あつれき)を生み、森林資源の持続的利用に懸念が生じていることは国も認めている。何世代も苦労して植林し続けた先人の苦労を思えば、エネルギー政策の「落とし穴」ともいえるこの状況には、改善の余地がある。

 いまや輸入外材より国産材の方が手頃な価格になった。人工林の半数以上は樹齢50年を超えて出荷に適した大きさに育ったが、木材の国内自給率は40%に留まる。国土の7割は森林。その資源を未来に引き継ぐのも持続可能な社会の在り方だ。貴重な木材の賢い利用法は真剣に考えたい。(裕)