秋篠宮家の長女眞子さまが小室圭さんと10月26日に結婚されると宮内庁は正式に発表した。その日、婚姻届の提出後に2人で記者会見するという。皇室典範の規定により眞子さまは内親王という皇族の身分を離れ、民間人になる。その後、パスポートを取得して小室さんが暮らす米ニューヨークに移り住み、新生活を始めることになる。
小室家の金銭トラブルを巡り結婚に否定的な反応も一部にあり、一般の結納に当たる「納采(のうさい)の儀」や天皇、皇后両陛下にあいさつする「朝見(ちょうけん)の儀」など皇室としての関連儀式は行わない。結婚して皇室を離れる女性皇族に国から支給される一時金も、眞子さまの意向を踏まえ不支給とする。
いずれも戦後初めてのことだが、結婚延期の発表以来3年半余りにわたり皇室や宮内庁を悩ませてきた問題はひとまず決着を見る。だが象徴天皇制を支える皇室の前途は厳しい。安定的な皇位継承に向けた方策はいまだ定まらない。眞子さまの結婚で未婚の女性皇族は5人になり、皇族先細りも一層深刻さを増す。
政府の有識者会議は次期衆院選後に皇族減少対策を示す見通しだが、皇族数を確保するだけでは皇位の安定継承につながらない。有識者会議が自民党保守派などの反発に配慮して先送りした女性宮家創設の検討も含めて、国会主導で本格的な議論を急ぐ必要がある。
眞子さまは婚姻届の提出を経て、天皇や皇族の戸籍に当たる「皇統譜(こうとうふ)」に皇室を離れたことが登録され、小室さんとの戸籍をつくる。これで未婚の女性皇族は天皇陛下の長女愛子さまや秋篠宮家の次女佳子さまら5人に減る。一方、皇位継承資格者は秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男悠仁さま、上皇さまの弟常陸宮さまの3人で変わらない。
現行制度のままでは女性皇族の相次ぐ結婚で近い将来、悠仁さまの支え手がいなくなる可能性もあり、有識者会議は7月に▽女性皇族が結婚後も皇室に残る▽旧宮家の男系男子子孫と現皇族による養子縁組を可能にする―の2案を軸とする中間整理を公表している。
もともと国会が政府に求めたのは皇位の安定継承策や結婚した女性皇族を当主とする女性宮家創設などの是非を検討することだった。しかし父方が天皇の血を引く男系男子に継承資格を限る皇室典範を重視する保守派は女性・女系天皇につながると警戒。特に母方が天皇の血筋の女系天皇には猛反対している。
有識者会議は中間整理で女性宮家創設の検討を棚上げした。あまり深入りすると、保守派の反発を招き、意見の取りまとめができなくなると判断したためとみられる。
その結果、抜本的な皇位の安定継承策は先送りされた。悠仁さまの即位までは見通せており、継承策は中長期的な課題という見方もあるが、危機感がなさすぎないか。国の根幹に関わることであり、どのような事態にも対処できるよう先手を打っておく必要がある。
いまひとつ気掛かりなのは、小室さんの母親が過去に元婚約者から受けた金銭的支援に絡むトラブルだ。小室さんは長文の説明文を公表。解決金を支払う意向も示したが、進展は見られない。あくまでも小室家の問題ではあるが、このままでは、今後も折に触れて批判的な声が上がり、眞子さまや秋篠宮さまを悩ませることになるだろう。