旧暦の「神在月(かみありづき)」期間中、限定的に毎週掲載した当コラムも、今回が「神在月」最終回です。今後しばらくは毎月1度の掲載に“戻る”わけですが、出雲大社では12月1日、全国より出雲へお集まりになられた神々をお送りする「神等去出(からさで)祭」が執り行われ、全国各地へ“お戻り”になられているようです。「作品の今」をお伝えしている当コラムも、今回は少し記憶を“戻し”ながら、昨年の神迎(かみむかえ)神事当日の思い出を綴(つづ)ります。
昨年の神迎神事当日(11月6日)は、製作御縁会の総勢約20人でマイクロバスをチャーターし、出雲市内のあらゆる場所をロケハンしていました。「日が沈む聖地出雲」ともいわれている象徴的な光景を稲佐の浜で見た直後に「神迎神事」を見学。出雲大社の神楽殿における「神迎祭」まで余すところなく目の当たりにできて、心が洗われたような、洗練された感覚をいただけました。
きっと、それまで多忙を極めていた中で知らず知らず乱れていた心が、すっと一定の場所に落ち着いてくれたのだと思います。言葉にするのは難しい感覚ですが、ふるさとにしかない、素晴らしい文化性がこの街にはある。改めて、そう強く感じました。
同時に、映画のタイトルにもあるように、これからを背負って立つ「こども」たちにも、本作を通じてわかりやすく、この文化性を誇ってほしい、とこれまで以上に強く思うきっかけにもなりました。それ以降、僕はいろいろな場所で「映画『神在月のこども』は、みなさんの身近に寄り添える、お守りのような作品で在りたい」と言い続けています。
今回は、特報映像カットで色の「無い」作画と、色が「在る」場面写の両バージョンを掲載します。そしてこのたび、作品の公式インスタグラムを開設しました。開設記念として「東京国際映画祭」日比谷会場オープニングステージでお披露目された主題歌『神無-KANNA-』のダイジェスト映像を先行解禁したので、どげなもんかいっぺん観てごさえて、フォローもちょっこしたのんますわ!
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みしま・てっぺい 『神在月のこども』企画・プロデューサー。1979年、松江市出身。cretica universalでは映画、漫画、テーマパークなどさまざまなシーンで企画・プロデュースを担当。