読書の秋にちなんで、読むだけでなく、自宅の本に世界に一つだけの飾り付けを施す「装丁」に取り組んでみてはどうだろう。10日まで松江市市民活動センター(白潟本町)1階のカフェで、自作の装丁本百冊を展示する造形作家の長岡哲生さん(72)=松江市東朝日町=にこつや魅力を聞いた。
(報道部・森みずき)
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カフェの本棚に飾られた本からは、創造力があふれ出す。一番に目に飛び込んできた全集の1冊で箱付きの本には、襟つきのシャツが立体的に貼り付けられ、首の部分からドライフラワーが顔を出していた。本のファッションショーを見ているようだ。
長岡さんは和紙を使った人形を制作する作家で、手先がとても器用。蔵書を飾る装丁には「せっかくのおうち時間を活用したい」と初めて取り組んだという。
制作期間は1カ月。多い時には1日5冊のペースで制作したそう。
素材は何でも、下着もあり?
本を手に取って素材をよく見ると、ストールや蝶(ちょう)ネクタイもある。普段から、おしゃれな長岡さんの愛用品だったものだ。着物用の布や帯、手拭い、下着やストッキングも使われていた。
長岡さんいわく「素材は何でもいい。惜しみなく存分に使うのがポイント」。「はがした表紙を切り抜いて使ってもいい。よく着ていた服、お母さんの着物など思い出の品を使えば宝物の1冊になる」とアドバイスする。
貼り付けは、本の素材に合わせて、のりや接着剤、両面テープを使い分ける。新聞紙に挟んで布団の下に敷いておくと、一晩できれいにくっつくそうだ。
デザインの発想は、長岡さんにしか思いつけないようなものが多いが、タイトルや内容からヒントを得ているものも。例えば、澁澤龍彦の短編小説集「うつろ舟」には、白、水色、青の刺しゅう糸で、舟が浮かぶ川を表現。永井龍男の小説「東京の横丁」は、少年時代の話が書かれていることから下町の少年をイメージし、コレクションの「メンコ」を貼り付けていた。
「肥やし」からインテリアへ
余談だが、記者は以前、公立の図書館に勤務していた。新しく入った一冊一冊に、汚れをつきにくくするために「ブッカー」と呼ばれる透明のカバーを付ける仕事があり、夢中で作業に打ち込んだ。
そのため、...












