店内は白を基調としたおしゃれなカフェのような雰囲気だ。木製の棚には、無添加で、うま味調味料を使っていない練り物や魚介加工品が並ぶ。小松原大志さん(44)が今年4月に開いた。
練り物好きが高じて食品メーカーに13年勤務した小松原さんは、働くうちに日持ちや食感、色を保つため、基準内といえども添加物や保存料を含む食品を作ることに疑問を感じるようになった。「自分の子どもに食べさせたいだろうか」
1年8カ月前に退職。その後、鮮魚店で魚のおろし方や調理方法を学んだ。大切な人に自信を持って勧める商品を売りたいとの思いから「to loved ones(トゥ ラブド ワンズ)」と名付けた。
商品はすべて山陰沖で取れた魚を使用。今の時季ならばエソやサワラなど季節の魚と藻塩、こしょうのみで作ったソーセージやスルメイカの塩辛、生つみれが人気だ。
特にこだわっているのはしめさば。サバ本来のうまみを出すため、サバの重さごとに1匹ずつ塩と酢に漬ける時間を変える。サバ特有の魚臭さを完全になくすための血抜き方法も習得した。
今夏イートインスペースが完成し、日替わりの魚を使ったピタパンサンドが店内で楽しめる。「今後は、朝食やおでんも出してみたい」と意欲は尽きない。
無添加で体にやさしい商品と聞いて来店する客から感謝の言葉を掛けられると、何よりの励みになる。「会社勤めより大変なことは多いが、よいと思ったものを売る喜びが大きい。自分の価値観に共感してくれる人のために頑張ろうと思える」と話す小松原さんの優しい語り口に、まっすぐな心根がうかがえた。 (坂上晴香)
・松江市西茶町25
・火曜、水曜は午前11時半から午後7時、金曜、土曜は午前11時半から午後7時半、日曜は午前11時半から午後5時
・定休日は月曜、木曜。
・電話0852(67)7985