「長~い人生、いつか弟のためだけに時間を割く日が来るから。今はお姉ちゃん優先でいいんだよ」

 ほろりとした。新生児訪問で訪ねてくれた助産師さんに、2人育児の悩みを打ち明け、返ってきた言葉。第2子出産後、ずっと息子に対して感じていた心苦しさが、ふっと軽くなった。

 娘の食事やお風呂の世話をしている時、息子はどうしても放ったらかしになる。授乳中に娘が「抱っこ! どいて!」と言ってくるのもつらかった。正直、弟にこれほど申し訳なさを感じるとは、産前は想像できなかったので、精神的に参ってしまっていた。

 最もしんどかったのが寝かしつけの時間。夫は寝かしつけに間に合わない夜が多く、1人で子ども2人の面倒を見る。先に授乳で弟を寝かせ、その後は姉の相手だ。が、まだ起きていたい姉は布団でぴょんぴょん跳びはね、声を出すので、弟も目を覚まし泣きだしてしまう。再び弟を抱っこで寝かし、また姉の寝かしつけに入る…それがエンドレスに続くのだ。姉は弟が泣きだすと、私に抱きつき離れない。泣き声は放置すればするほど増幅し、声が枯れるまで泣いていた。寝かしつけに2時間以上費やす夜が続いた。

 娘にとって弟の出現は、2年間の人生最大の事件に違いない。優しく接してくれる時もあったが、寝言で「アカチャン、だめぇ~!」と泣き叫ぶことが増えたし、弟のことは徹底して名前では呼ばず、「アカチャン」と呼んだ。

 そんなある日、事件が起きた。生後1カ月の弟の足を娘が思いっきりつねったのだ。私は怒りが頂点に達し、怒鳴った。我慢してきたいろいろな思いがあふれ、涙が止まらなかった。当時の日記より。「自分では動けず泣く息子。思いっきり抱っこして遊んでほしい娘。つい息子ばかり抱っこして娘を見てやれない母。つらいなあ。誰も悪くないのに、みんなつらい」「つらいのは今だけ! すぐ大きくなるよ! なんて励まし、正直いまの私には何の意味もない。いま、どうすればいいかを知りたい」。第1子産後のうつ感とはまた違う種類のうつ感を抱えていた私にとって、助産師さんの一言は大きな救いになった。