タクシー相乗りのイメージ
タクシー相乗りのイメージ

 国土交通省は29日、他人同士が同乗するタクシー相乗りを11月1日から全国で解禁すると発表した。配車アプリを通じ、同じ方向に行く人を調整。運賃は乗車距離で案分するため、単独で乗るより割安になる。業者側の準備が必要で、実際のサービス開始は数カ月先になる見通しだ。新型コロナウイルス感染対策で当面、3人掛けの後部座席は2人までとするなどの対応を求める。

 乗客の利便性や事業者の生産性を向上させる規制緩和の一環で、29日付で関連通達を公布した。運転手不足が深刻化している地方もあり、住民の足を安定的に確保する狙いもある。アプリを使わず、運転手がタクシー乗り場で客を募って相乗りさせることはできない。

 相乗りタクシーは「シェアタク」とも呼ばれる。乗客はスマートフォンのアプリに日時や乗車位置、目的地を入力。同じ時間帯に同一方向へ行く人がいればマッチングされ、運賃や走行経路に同意すれば配車する。

 見知らぬ客同士のトラブルも懸念され、男女同乗の可否、車両タイプなどもアプリ上で事前に同意を得る。乗車時はアプリの画面提示などで本人確認し、誤乗車を防ぐ。

 マッチング成立率を高めるには、幅を持って時間帯を希望できるようにするなど業者側の工夫が求められそうだ。乗客も自宅、勤務先で降りると同乗者に特定される恐れがあり注意する必要がある。

 運賃は乗車距離に応じて分担。座席指定した客を割高にしたり、障害者を安くしたりすることは認める。相乗りサービス提供の費用などを転嫁するため、国の認可があれば運賃を通常より最大2割増しにできる。

 国交省は新型コロナ感染拡大を防ぐため、解禁時期を検討してきた。当面は、乗客の間隔を確保するため乗車人数を減らしたり、運転手と乗客のマスク着用を徹底したりするよう業者に求める。

 

▼タクシー運賃の規制緩和 柔軟な運賃・料金の設定を認めることで、タクシーを使いやすくし、新たな需要を掘り起こすのが目的。昨年11月、鉄道の回数券や定期券のように複数回の運賃を一括で支払うことを容認。迎車料金が曜日や時間帯、天気、繁忙度合いなどで変動する仕組みも解禁した。運賃自体を曜日や時間帯などで変動させたり、メーターを使わず衛星利用測位システム(GPS)で金額を算出したりすることも予定しており、実証実験で課題を検証している。