■鳥取1区
 自民党前職の石破茂候補の陣営には前回選と打って変わり、支持者から「投票に行かなくても石破さんは勝てる」との声が相次ぐ。

 これまでは自派閥候補の応援で地元を不在にしても鳥取県初の首相誕生への期待感で求心力を保ってきたが、9月の総裁選で出馬を断念。支援した河野太郎氏も敗れ、ムードは低調だ。

 4回連続の自共対決で新鮮味に欠ける。支持者の間には投票への熱意が冷めたかのような空気が漂う。

 留守を預かる陣営は後半戦に入った25日、候補の録音した声を選挙カーから流し始めた。街頭では党所属県議らによる演説後、スタッフが「石破コール」を連発。盛り上げに躍起となるが、目標とする全国トップの得票率を獲得できるかどうかは見通せない。

 共産党新人の岡田正和候補は政権批判に加え、米価下落対策を訴える。

 在庫米の長期保管を支援する方針の自民に対し、政府の過剰在庫の買い取りによる価格安定化を主張。

 政権と距離があり党改革を訴える石破候補を相手に政権批判を続けても有効打にならない懸念があり、対案を示して浸透を目指す。

 ■鳥取2区
 自民党前職の赤沢亮正候補と立憲民主党元職の湯原俊二候補による5度目の対決は、いつにも増して批判合戦の様相を呈している。

 新型コロナウイルス対策を担当する内閣府副大臣としての実績を強調してきた赤沢候補の演説内容は終盤に一変した。

 湯原候補が、政策面の違いがある共産党の支援を受けていることに対し「理念なき野合だ」と厳しく追及。25日夜の米子市内での集会では千人を前に「『立憲共産党』に負けるわけにはいかない」と声を張り上げた。

 裏を返すと危機感の表れだ。

 報道各社の世論調査で自民、公明両党の支持層を固めて一歩リードと伝わるが、大票田の米子、境港両市では湯原候補に過去2回の衆院選で連続して票差を縮められており、有権者の動向に気をもむ。

 逃げ切りを目指すものの選対本部長の斉木正一県議は「攻撃的な姿勢はイメージが悪くなる」と支持者離れを懸念する。

 対する湯原候補は新型コロナ対策の不備など政権批判を繰り返して応酬する。

 組織は前回選と比べ、手足となる立民系の地方議員が米子市、江府町で各1人増えて厚くなった。

 陣営は赤沢候補との差が依然としてあり、有権者の半数を占める米子市での戦いが雌雄を決すると分析。

 28日夜には市内で緊急集会を開き、選対本部長の福間裕隆県議が「皆さんが新しい人を探し、横に広げてほしい」と約400人に要請。浮動票の獲得に向け、追い込みを図る。

 共産党西部地区委員会は前回選で党公認候補が得た1万票余りを湯原候補に回して支援する方針。街頭演説で共産関係者がともに立つことはなく、支持母体で「反共産」の立場を取る連合鳥取に配慮を見せる。

 ただ、傘下には連携に反発し、投票をしない考えの組合員が少なからずいる。つかず離れずの野党共闘の行方は見えない。