地元と電話をつなぎ感謝を述べる細田博之氏=東京都千代田、派閥事務所
地元と電話をつなぎ感謝を述べる細田博之氏=東京都千代田、派閥事務所
初当選を果たし、花束を手に喜ぶ高見康裕氏=31日午後8時23分、出雲市今市町、ラピタウェディングパレス
初当選を果たし、花束を手に喜ぶ高見康裕氏=31日午後8時23分、出雲市今市町、ラピタウェディングパレス
地元と電話をつなぎ感謝を述べる細田博之氏=東京都千代田、派閥事務所
初当選を果たし、花束を手に喜ぶ高見康裕氏=31日午後8時23分、出雲市今市町、ラピタウェディングパレス

 第49回衆院選が31日投開票され、山陰両県4小選挙区は自民党の前職3人と新人1人が勝利し、6回連続で議席を独占した。島根1区は前職の細田博之氏=公明党推薦=が、立憲民主党前職の亀井亜紀子氏と無所属新人の亀井彰子氏を抑えて11選。2区は新人の高見康裕氏=同=が、立憲民主党新人の山本誉氏と共産党新人の向瀬慎一氏を寄せ付けず、初当選した。鳥取1区は前職の石破茂氏=同=が12選、2区は前職の赤沢亮正氏=同=が6選をそれぞれ果たした。

 比例中国ブロック(定数11)に重複立候補した立民の3人のうち、鳥取2区で敗れた元職の湯原俊二氏は復活し、2回目の当選。島根1区の亀井亜氏と島根2区の山本氏は復活当選できなかった。

 投票率は島根が0・91ポイント増の61・55%、鳥取が1・73ポイント増の58・16%だった。

 

〈1 区〉

 事実上の与野党候補の一騎打ちとなった戦いは、厚い組織力と知名度を武器にした自民党前職の細田博之氏が11選を決めた。政府と党で要職を歴任して培った政策実現力や新型コロナウイルス対策の強化などを訴え、支持を集めた。立憲民主党前職の亀井亜紀子氏は野党共闘で臨み、政権批判票の受け皿を目指したが及ばなかった。

 自民党最大派閥の会長の細田氏が期間中に地元入りできたのは5日間だったが、1回当たりの演説時間を短縮してこまめに街頭に立った。中国電力島根原発2号機(松江市)の早期再稼働も訴え、新型コロナの影響を感じさせない聴衆の多さで勢いを維持した。

 本人の不在時は地元選出の党参院議員や県議がマイクを握って細田氏の実績をアピールし、団体や企業回り、電話作戦も徹底。組織力で優位に戦いを進めた。

 亀井氏は公的サービスの維持や消費税率の引き下げなどを主張し、政権交代の必要性を強調。連合島根を支持母体に、共産党と社民党の支えも得た。しかし、反原発の主張に一部の労働組合が反発。期待した党への追い風も吹かなかった。

 無所属新人の亀井彰子氏は公示直前に立候補を表明し、個人で活動したが、支持は広がらなかった。(片山大輔)

   ◇

細田博之 77歳 (自民、前、(推)公明)

 元官房長官。党細田派会長、党島根県連会長。旧通産省(現経済産業省)勤務、父の故細田吉蔵元衆院議員の秘書を経て、1990年衆院選で初当選した。沖縄・北方対策担当相、党幹事長などを歴任。東京大法学部卒。松江市堂形町。当選11回。

 

〈2 区〉

 自民党の故竹下亘氏が兄の故・登元首相から強固な地盤を引き継ぎ、「竹下王国」とも呼ばれる島根2区は、竹下氏の後継候補として立候補した党新人の高見康裕氏が初当選を果たした。立憲民主党新人の山本誉氏、共産党新人の向瀬慎一氏は大差で敗れた。

 高見氏の得票率は62・4%。陣営が目標に掲げた75%に届かず、前回選の竹下氏の実績(67・8%)も下回った。

 島根県議だった高見氏は竹下氏の政界引退に伴う党県連の公募で後継候補に決まった。

 公示後は竹下氏の政治信条だった「ふるさと創生」を引き継ぐと強調。若さと行動力を前面に東京一極集中の是正などを訴えた。約150団体以上の推薦を得て、組織型の選挙を展開。終始、他候補を圧倒した。

 山本氏は連合島根の支援を受け、政権交代の必要性や農林水産業の振興による地域活性化を訴えたが、大票田・出雲市での浸透に苦しんだ。野党共闘が実現せず、政権批判票が分散したことも影響した。

 向瀬氏は自公政権の経済対策に対する批判のほか、原発ゼロ社会の実現、医療福祉分野の支援拡充などを訴えたが、埋没した。 (松本直也)

   ◇

 元島根県議。読売新聞記者、海上自衛隊勤務などを経て、2015年の県議選出雲選挙区で初当選。故竹下亘氏の政界引退に伴う党県連の公募で後継に決まり、県議を2期目途中で辞職した。東京大大学院公共政策学教育部修了。出雲市高岡町。当選1回。