クリスタルボウルを演奏する春名晶子さん=出雲市大社町杵築南、MAMMA MIA出雲
クリスタルボウルを演奏する春名晶子さん=出雲市大社町杵築南、MAMMA MIA出雲

 新型コロナウイルス禍をきっかけに、東京から出雲市にIターンした女性商店主が神々が集う地のPRに奮闘する。癒やし効果があるとされる水晶の楽器を扱っており、地域のイメージと接点を見いだして昨秋に移住。出雲での開業希望者の相談に乗るほか、出雲の神在月を発信するイベントを計画。「出雲に感謝している」と恩返しの町おこしに思いをはせる。(松本直也)

 

 女性は春名晶子さん(62)。水晶の楽器クリスタルボウルやオリジナルジュエリーを販売する合同会社「MAMMA MIA(マンマミーア)」を創設し昨年10月に神門通りの「しんもん横丁」(出雲市大社町杵築南)に店を構えた。

 移住は新型コロナがきっかけ。都内を拠点に販売活動をしていた昨年4月、緊急事態宣言で銀座の店舗はシャッターが下り、誰も歩いていない状況に「これからどう生きてどこで仕事しようか」と従来考えもしなかったことと向き合った。

 頭に浮かんだのは「もう東京ではないよね」という思い。東京は顧客は多いが同じ商品を扱うライバルもおり、商品をどこで発信するのか「物語性」の大事さに気付いた。そこで、神々が集まり、リフレッシュしたい人が訪れる出雲と、扱う商品のイメージが合致。初めて訪れた町の雰囲気も気に入り、移住を決めた。

 会議はオンラインを活用し、東京|出雲間も飛行機で1時間半と想像以上に近く、仕事に不便さは感じない。なじみ客もでき「やりたいことに近づいている」と充実感をにじませる。

 移住をきっかけに知人も出雲に興味を持ち「稲佐の浜の近くでカフェをやってみたい」という人もおり、Iターン者の目線から情報発信する役割も感じつつある。

 神在月の今月は、15日からはスマートフォンを使ってオリジナルキャラクター・小人の神様との出会いを楽しむイベントを店内で開く。東京・銀座のギャラリーや福岡市内の百貨店からも参加できるようにした。「出雲や神在月のことを知ってもらうきっかけにしたい」と売り込みに一歩踏み出す。