多種多様なガチャ480台が並ぶゆめタウン出雲のカプセルラボ
多種多様なガチャ480台が並ぶゆめタウン出雲のカプセルラボ

 出雲市内の大型ショッピングセンターに10月15日、おもちゃの自動販売機「ガチャ」が480台並ぶ売り場が登場した。ガチャは「ガチャガチャ」とも呼ばれ、硬貨を入れてレバーを回すとカプセルに入ったおもちゃが出てくる。1台か2台がスーパーの店頭に設置されるイメージだったが、500台近くを集めた売り場は珍しく、山陰両県では最大規模という。どんなガチャがあって、雰囲気はどうなのか。売り場に向かった。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 

 ガチャの売り場は出雲市大塚町、ゆめタウン出雲の本館2階にあり、「カプセルラボ」と呼ばれ、広さは約90平方メートル。おもちゃ屋「ABCパレード」のすぐ隣で、子どもや家族連れが立ち寄りやすい場所にある。

大量のガチャと黄色い空間が目印。近くを通ればすぐに目につく

 売り場には2、3段に積まれたガチャが所狭しと並ぶ。店内の奥の方に進むと、ガチャに囲まれた通路があり、多種多様なガチャを左右に眺めながら歩くことができる。480台が並ぶ光景は圧巻だ。

 今までのガチャは主に、アニメキャラクターを模した小さな人形やキーホルダーで、100円で手軽に買うことができた。カプセルラボにも、子どもに人気のアンパンマンをはじめ、鬼滅(きめつ)の刃(やいば)や呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)、東京リベンジャーズといった人気漫画、アニメのキャラクターのガチャが多い。

 奥の方のガチャを見ると、おもちゃの雰囲気が全く違ってくる。食べ物や家電製品を精巧に模したおもちゃのガチャが多く並んでいる。1回の料金も300円が多く、中には800円のものもあった。

 カプセルラボの担当者によると、ガチャの客層や流行はここ数年で大きく変化したという。

 

 ▼冷蔵庫や自販機…精巧なおもちゃが人気

 担当する、ゆめタウン出雲のアミューズメントコーナー「ゆめサーカス」の大澤裕弥店長(42)は「最近は子どもだけでなく大人の利用が多く、特にミニチュア系やレトロ系の人気が高い」と話す。ミニチュア系、レトロ系…31歳の記者が子どもの頃には耳にしなかった種類のおもちゃだ。

 大澤店長によると、ミニチュア系は家電や自販機といった、誰もが知る物を手乗りサイズで精巧に再現したもの。カプセルラボには冷蔵庫や自販機をはじめ、お中元ギフトや歯医者の椅子といったマニアックなものを再現したおもちゃがそろう。

自動販売機のミニチュア。実際に小さなジュースが出てくるという
歯医者の椅子マスコット。マニアックだが誰もが知っている、という点が大事のようだ

 中には非常用ボタンやナースコールを再現し、本物に近い音が鳴るものも。誰が買うのかと思うが、人気があるそうで、大澤店長は「普段押す機会がないものを思う存分押したいという思いがあるのでは」と推測する。

 レトロ系は昔ながらの雰囲気が漂う物をおもちゃにしたもの。子どもの頃に目にした、たばこ屋のカウンターや空き地の土管などがある。「ハウス食品」のレトルトカレーや接着剤の「セメダイン」、ポリ袋「アイラップ」の容器といった企業の商品もある。レトロ系は年配だけに人気があるのではなく、ひと昔前の独特の雰囲気が若者の目を引いているという。

接着剤の「セメダイン」を再現したおもちゃ。小学生の図工の時間を思い出す
ポリ袋でおなじみの「アイラップ」の容器のおもちゃ。おまけとして本物のポリ袋が1枚入っている

 

 ▼料金は1回300~500円に

 おもちゃの精巧さに伴って、料金も変わった。記者が子どものころは、ほとんどが1回100円で、200円は珍しかった。今は300~500円が主流のようだ。ガチャの購入層は安さよりも出来の良さを求めるようで、店内最高はなんと、1回800円。208ピースに及ぶアニメキャラの柄をそろえるパズルだった。別の店舗には1回1500円のガチャがあり、中身は人気アニメ「ドラゴンボール」や特撮ヒーロー「仮面ライダー」の登場キャラクターのより精巧なフィギュアだ。

「プレミアムガシャポン」と名付けられた1回800円の高級ガチャ。通常のものとは格が違う高品質のおもちゃが手に入るという

 取材の間、老若男女問わず、多くの人が100円玉を手に、ガチャのレバーを回していた。「あのキャラクターを狙うぞ!」という声も聞こえる。大澤店長によると、利用が多い時間帯は昼食後の午後2時以降や、仕事帰りの午後6時過ぎ。土日は1時間で40人以上が利用することもあるという。

 広島市から帰省中の大学生の黒田祥太さん(22)は、目当てのキャラのおもちゃを狙い、1回300円のガチャに計900円を投じた。「何が出るか分からないのがいい。当たりが出るまでやりたくなる」と魅力を話す。来店のたびに見に来るという、出雲市在住の60代女性と30代女性の親子は「おもちゃ屋さんほど高価ではないので来店時のちょっとした楽しみになっている」と、手軽に楽しめる点を挙げる。
 

 

 熱中する人を見ているうちに記者もミニチュア系が欲しくなり、お中元ギフト(1回200円)を回してみた。出てきたのは約2センチの小さい缶ジュース4本が入ったフルーツジュースセット。プルタブの細かい部分まで再現されている。他のそうめんセットやハムギフトセットも欲しくなった。シリーズでそろえたいという、ファン心理をくすぐられる。

 試しに1回だけのつもりが、別のガチャも複数回してしまった。

記者が引き当てたお中元のフルーツジュースセット。ラベルやプルタブなど細部まで作り込まれている


 

 ▼進化し、幅広い年齢層が楽しめる

 大澤店長によると、ガチャの正式名は「カプセルトイ」で、2014年ごろからミニチュア系がはやり始めたことで全国的にニーズが高まったそうだ。

 カプセルラボはゲームメーカーのカプコン(大阪市)の運営で、全国の商業施設などに展開し、ゆめタウン出雲は11箇所目。店内のアミューズメントコーナー「ゆめサーカス」をカプコンが運営していることからオープンが決まった。

 入り口横には店内のガチャで出るおもちゃを組み合わせたディスプレイがあり、買い物客の目を引く。ガチャの配置にも気を配る。アニメキャラなど子どもが対象のガチャは子どもを抱いた人が利用しやすいよう、通路に面した広い場所に設置。レトロ系など大人向けのガチャは、奥まった位置にまとめてある。

 ガチャの種類は定期的に入れ替わるため、来店のたびに楽しみがあり、飽きられないよう工夫されている。店側からすると、ガチャは幅広い客層の利用が見込める上に、ゲーム機のように電気代がかからない。ガチャの種類を替える手間は販売機の中身と設定料金を変更するだけと容易で、維持費と人件費を抑える狙いもある。人と対面することなく遊べるという点も、コロナ禍では利点だ。

ガチャを開ける大澤裕弥店長。最近の販売機は特に手軽に中身を交換できるという

 大澤店長は「幅広い年齢層の人が楽しめる。ゲームだけではない、違った形のアミューズメントを体験できるエリアになっている」と話した。楽しみ方やニーズは時代によって変わる。カプセルを開けるまでのドキドキ感は、変わらない魅力なのだろう。これから、どのように進化していくのか、ファンの一人として楽しみだ。

 ゆめタウン出雲のカプセルラボの営業時間は、午前10時~午後8時。