「200年の森遊歩道」で、森林や林業の役割を聞く倉吉東高校の修学旅行生=鳥取県日南町阿毘縁(町提供)
「200年の森遊歩道」で、森林や林業の役割を聞く倉吉東高校の修学旅行生=鳥取県日南町阿毘縁(町提供)

 国のSDGs(持続可能な開発目標)未来都市の一つで、脱炭素社会の実現を目指す鳥取県日南町が、県内高校の修学旅行の研修先として注目されている。今年6月の鳥取敬愛(鳥取市)を皮切りに、11月に倉吉東(倉吉市)の一行が森林教室や廃材活用の寄せ木細工などを体験。来年2月には鳥取商業(鳥取市)の生徒約200人が来町予定で、町は修学旅行向け研修プランの商品化を急ぐ。
 「修学旅行生がやって来るとは、想定外だった」。2校約280人を受け入れた町農林課の荒金太郎主任は、相次ぐSDGs研修の依頼に驚く。
 環境教育の高まりを背景に、修学旅行の日程に組み込まれた研修は、杉の巨木が林立する「200年の森遊歩道」での森林教室や、地元産材を使った木造庁舎の見学、寄せ木細工体験など。古民家で住民と触れ合う場も設定され、田舎料理を作って味わう。
 たたら製鉄で栄えた旧家の裏山に整備された遊歩道では、町立林業学校「にちなん中国山地林業アカデミー」教諭の高木康平さん(37)が解説。クイズ方式で森林や林業の役割を分かりやすく説き、好評だ。
 高木さんは「新型コロナウイルス禍で修学旅行が近場になった事情もあるが、今後の木育や環境教育の進め方に多くの示唆を与える」と手応えを話す。
 修学旅行を仲介する日本旅行教育旅行部(東京都)の玉生勝則部長は「SDGs教育を目的にした修学旅行需要は加速度的に増える」と予測。「一過性でなく、事前・事後学習を含めた伴走型プログラムを学校へ提案することが重要。地域も一緒にプログラムを作っていく考え方が求められる」と指摘する。
 「環境保全の理解が深まった」など学校の反応を受け、町は関係団体と研修プランの商品化に乗り出す。
 (山根行雄)