島根原発2号機の早期稼働を求める陳情を賛成多数で採択する松江市議会=松江市末次町、議場
島根原発2号機の早期稼働を求める陳情を賛成多数で採択する松江市議会=松江市末次町、議場

 中国電力が2023年度以降の再稼働を目指す島根原発2号機(松江市鹿島町片句)について、松江市議会が21日の定例会本会議で、地元の経済団体が提出した早期の再稼働を求める陳情8件を賛成多数で採択した。市民団体などが出した反対の陳情21件は不採択とし、事実上、再稼働を容認した。

 上定昭仁市長は閉会あいさつで「皆さんの意見などを踏まえ、今後の判断に向けて検討を進めていく」と述べるにとどめ、立地自治体としての再稼働への賛否は示さなかった。

 本会議では、再稼働を求める陳情を採択し、反対の陳情を不採択とした島根原子力発電対策特別委員会の委員長報告に続いて討論があり、自民党系3会派の3人と無会派の1人が「安価で安定的な電力供給が必要だ」「環境問題の解決につながる」などと再稼働の必要性を強調した。立憲民主党の1人と共産党の1人は再稼働の是非を問う住民投票の実現を求める動きに触れながら「現段階での容認判断は時期尚早だ」「市民の命を軽視している」などと訴えた。

 採決は議長を除く33人の挙手で行われ、委員長報告に28人が賛成し、立民2人と共産3人が反対した。

 立脇通也議長は終了後の取材に対し、市議会として一定の方向性が出たとの認識を示した。
      (片山大輔)