中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働の是非などを問う住民投票の実施に向け、境港市の市民団体が23日、市選挙管理委員会に3233人分の署名を提出した。法律で定められた必要数を満たしており、1月中にも住民投票条例の制定を市長に直接請求する。松江、米子、出雲の3市でも住民投票の実現を求める動きがある中、署名簿の提出は初めて。
境港市は原発から30キロ圏内に全域が含まれ、住民投票で2号機の再稼働と3号機の新規稼働の是非に関する市民の意思を確認しようと、「境港の未来を考える会」が11月20日から1カ月間、署名活動を展開した。
集まった署名の数は地方自治法が直接請求の必要数として定める市内有権者数の50分の1(約560人)を大きく上回り、団体は市選管による有効署名数の審査と署名簿の縦覧が終わり次第、伊達憲太郎市長に条例制定を直接請求する。
団体によると、再稼働の是非を問う住民投票が実現すれば全国初で、市選管の三代智委員長に署名簿を手渡した黒目伸一郎会長(39)は「市民一人一人が投票で自身の意思を表明できる。市民中心のまちづくりを進める上で大変価値あるものとなる」と話した。
直接請求は住民の基本権として認められており、市長は受理した場合、市長意見を付けて20日以内に市議会に条例制定案を提出しなければならない。
米子市では24日、松江市でも来年1月4日にそれぞれ署名簿が市選管に提出される予定で、出雲市の市民団体は来年1月初旬に署名集めを始める。
(松本稔史)