約2年に及ぶ新型コロナウイルス禍は、世界の経済・社会だけでなく、私たちの身体や精神にも大きな影響を与えている。ワクチン接種は進んだが、新たな変異株も出現する中で、私たちは惨禍からどうやって立ち直っていくのだろうか。フランスの神経精神科医で作家のボリス・シリュルニクさんが、思索を巡らせた。
自然は絶えずウイルスを生み出している。この小さな生命体の断片は気候や動物群に応じて、変異したり淘汰(とうた)されたり強くなったりする。
感染症を生み出したのは、過剰な消費や過度な往来・交流を続ける文明である。私たちが食用にするため膨大な動物を飼育し、ラクダや船、航空機で移動することが、ウイルスを生みだし世界に...











