隠岐島前にある島根県知夫村の中学生が、村をPRするポスターとウェブサイトを制作した。地元クリエーターに学び、「プロが参加する広告コンテストで本気で入賞を目指す」と取り組んだ意欲作。今春から村内外で公開し、島の人と人とのつながりや暮らしを魅力としてアピールする。(森山郷雄)
村の広告プロジェクトを買って出たのは、知夫小中学校中学部3年の7人。地域課題を探し、解決策を自ら考える総合学習の一環で、2年次に計15回の制作活動を重ねた。
同県海士町で活動する元大手広告会社アートディレクターの南貴博さん(44)と、同県西ノ島町のプログラマー、小山瑛司さん(35)が協力。
「知夫村にあるものの本質に目を凝らした上で、誰に何を伝えるかの仕掛けを考え抜いて」との助言を受け、キャッチコピーやウェブ制作に挑戦した。
古里が持つ魅力を自分に問い掛け、たどり着いた広告コンセプトは「人」や「つながり」。
生徒によるインタビューを載せたウェブサイトには、村民の実直な語りと島に根を張って暮らす深い言葉が並んだ。
また、サイトに誘導するQRコード付きのポスターは、島の美しい景観をエックス線写真で透過したような意表を突く仕上がりで、島への思いを込めて創作した「透全叶村(とうぜんかなうむら)」などのキャッチコピーが躍る。
南さんは「全て生徒のアイデアで、中学生とは思えないレベルになった」と評価。吉田百花さん(14)は「単に格好良さそうな言葉ではなく、考えたものを選ぶ難しさを実感した」と振り返る。
今春から隠岐航路の汽船場などにポスターを掲出。ウェブは近く公開する。
永谷幸絹さん(14)と並河敢大さん(14)は「透き通った島の人の心と風景を訴えた」と声をそろえ、村への注目度アップと出品を予定する広告コンテストでの受賞に期待した。