島根県が進める「美肌県しまね」の展開に、新型コロナウイルスの感染拡大が影を落としている。宿泊施設が県の補助事業を活用して客室改修やプラン作りに取り組み、「さあ、これから」という段階で観光客を呼ぶに呼べない状況に再び陥った。美肌県としての認知もまだ広がっておらず、戦略の再構築を迫られている。

 化粧品大手ポーラが開催する「ニッポン美肌県グランプリ」で、島根は2018年までの7回のうち5回「日本一」の称号を得た。実績を生かし県は翌19年から「美肌県しまね」の観光プロモーションを本格化。美肌に関連した食事メニューや宿泊プランと、ハード整備をセットにした補助事業を展開し、21年度は5施設が採択された。

 さぎの湯温泉の竹葉(安来市)は源泉の蒸気を利用した「顔湯」などを設置し、昨年12月下旬に完成したばかり。ちょうどオミクロン株が広がり始めたタイミングで、小幡浩三社長は「これからお越しいただこうという時に水を差された」と肩を落とす。

 また県はポーラやANAと連携し、県内の温泉や食、エステなどを体験する「美肌ウエルネスツーリズム」のツアー商品を発売し、3月に催行予定だが、これも感染状況をうかがいながらとなりそうだ。

▽イメージ調査5位

 認知度不足も否めない。首都圏の20~60代男女を対象に県が実施した21年8月の観光認知度調査で、美肌県と聞いてイメージする都道府県の上位三つを選んでもらったところ、島根は...