住民投票の実施に反対する意見を述べる上定昭仁市長=松江市末次町、市役所
住民投票の実施に反対する意見を述べる上定昭仁市長=松江市末次町、市役所

 中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働の是非を問う住民投票条例案を審議する松江市議会臨時会が8日、開会した。上定昭仁市長は「市長と市議会が責任ある議論を経て判断する方法が最もふさわしい」などと住民投票の実施に反対する意見を付けて条例案を提出。9日に請求代表者の意見陳述があり、15日に採決される。

 上定市長は本会議で、原発の再稼働は、市民の安全や安心、地域経済の維持、エネルギー問題などの観点を踏まえて総合的に判断する必要があると強調。賛成、反対、保留の3択で問う住民投票について「単純化された数の結果では市民の思いを正確に捉えることができない」と述べ、市民の代表である市議会で議論して判断する方法が最善だとする考えを示した。

 本会議ではこのほか、9日の意見陳述は2人以内、1人当たり15分以内で実施すると決定。10日に上定市長への質疑を行い、休会日を経て、15日に討論、採決し、住民投票の可否を決める。いずれも本会議を開き、全ての審議を動画配信する。

 住民投票に賛同する市民1万1006人分の署名を集めて条例制定を直接請求した市民団体「どうする島根原発?みんなで決める松江の会」の岡崎由美子共同代表は、上定市長の反対意見に対して「住民の声を聞こうとせず、責任逃れとしか言いようがない。非常に許し難い」と憤った。

 提出された条例案は市内の有権者を対象に、2号機の再稼働について、賛成、反対、保留の3択で問う内容となっている。
      (中村成美)