山陰中央新報社の石西政経懇話会定例会が17、18の両日、益田、浜田両市であった。ジャーナリストの井上久男氏(57)が「日本の自動車産業は生き残ることができるのか」と題し、ポストコロナ時代の自動車業界を展望した。要旨は次の通り。

 自動車産業には変革の波が訪れている。「動くスマートフォン」と呼ばれるテスラの電気自動車(EV)やIT大手アップルのEV参入の動き、カーシェアやサブスクリプション(定額利用)の普及もあり、顧客のメーカーに対するこだわりは薄れていく。安くて使い勝手に優れ、機能を満たしている車であれば良いという価値観が広まる。

 この流れに乗ると、大衆車メーカーはブランドを喪失し、IT業界の下請けとなる可能性がある。EVや自動運転が普及すると、2050年にはガソリンスタンド、信号機、運転免許証も不要になるとの見方もあるが、実現にはさらなる規制緩和が必要だ。

 国内ではEVの本格導入に向けた動きが出ており、...