竹島や北方領土への漂着民についての企画展を見学する来館者=東京・霞が関、領土・主権展示館
竹島や北方領土への漂着民についての企画展を見学する来館者=東京・霞が関、領土・主権展示館

 江戸時代の鬱陵島(ウルルンド)(韓国)や朝鮮半島周辺での日本人の活動を取り上げ、竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))の領有権問題を考察する企画展が、東京・霞が関の領土・主権展示館で開かれている。竹島の領有権を「江戸幕府が放棄した」とする韓国の主張を覆す資料を、漂着民の扱いを巡る記録から見いだしている。5月8日まで。

 竹島や北方領土、尖閣諸島の歴史で、漂流事件が日本の領有権確立に重要なきっかけを与えた共通点に着目して同館が企画。パネルや資料を展示している。竹島に関しては、島根県竹島問題研究会の研究成果が反映されている。

 江戸時代、漂着をきっかけに鬱陵島で木材の伐採や漁業を行うようになった米子の廻船業者を紹介している。

 1637年と66年、操業後に朝鮮半島へ漂着する事件が発生し、当時の朝鮮は日本の対馬藩を通じて船乗りを送還し、罰することはなかった。96年に対馬藩と交渉した朝鮮側が「鬱陵島は自国領だ」と申し入れた際、対馬藩が「(朝鮮の)申し遅れだ」とした見解を資料で示し、朝鮮側が竹島はおろか、鬱陵島の領土権も主張しなかったことがあったとしている。

 企画を担当する内閣官房領土・主権対策企画調整室の斎藤康平企画官は「先人の漂流者の苦難を礎にして、現在の日本の領土があることを実感いただきたい」と話している。入場無料、月曜休館。
  (鎌田剛)