中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)について、米子市の伊木隆司市長が18日、再稼働に同意すると表明した。原発30キロ圏に位置する周辺自治体の首長で容認判断を示したのは初めてで、立地自治体の松江市長に続いて2人目となった。
2号機は2021年9月に原子力規制委員会の新規制基準適合審査に合格。市は中電と結ぶ安全協定に基づき、再稼働に対する意見の照会を受けていた。
市はこの間、原発にトラブルなどがあった場合に原子炉の停止を求めることができる「措置要求」権について、立地自治体の島根県、松江市と同様に鳥取県にも認め、米子、境港両市の意見を聞いて行使できると定める安全協定の改定で合意した。
伊木市長は市議会の全議員26人が出席した全員協議会で、鳥取県の原子力安全顧問が2号機の安全対策を妥当と確認したことなどを踏まえ、同意の判断に至ったと説明。中電に対し、安全対策への最新知見の反映▽法令手続きへの適切な対応と説明▽市の原子力防災対策への協力▽安全文化の醸成ーの4項目を同意の条件として要求する方針を示した。
意見を求められた議員のうち、自民党系の蒼生会(8人)と政英会(2人)、公明党議員団(4人)は会派として了承すると報告。よなご・みらい(4人)、共産党市議団(3人)、一院クラブ(1人)は「判断は時期尚早」などと訴えて反対した。労組系の信風(3人)は会派内で賛否が分かれた。
市議会は同意の賛否を問う採決をしなかったが、伊木市長は賛同する議員が多数を占めたと判断。近く、鳥取県に同意を伝達する。
一方、平井伸治知事は18日、米子、境港両市の意見がまとまった段階で、市長から意見を聞く場を設ける考えを示した。その後、県議会の全員協議会で議員の意見を聞き、再稼働の是非を判断するとした。
早期の再稼働を目指す中電は審査合格後の昨年9月、松江市と島根県に事前了解(同意)を申し入れ、周辺自治体の出雲、安来、雲南、米子、境港の5市と鳥取県に意見を照会。
このうち、松江市長は2月に事前了解した。既に同意方針を表明した安来市長のほか、意向を明らかにしていない境港、出雲、雲南の各市長も今月中に判断を示す見通し。島根県の丸山達也知事は周辺自治体と県議会の意見が出そろってから結論を出すとしている。
(田淵浩平)