人が倒れた現場に居合わせた市民による救命処置が、新型コロナウイルス感染症の流行以降、大幅に減少したことが、総務庁消防庁のまとめた「救急・救助の現況」で分かった。救命率も同様に低下していた。
自動体外式除細動器(AED)の普及啓発に当たる日本AED財団(東京)は「適切な対処によって心肺蘇生中の感染リスクは避けられる。救命処置をためらわないで」とする緊急メッセージを発表した。
総務省消防庁のまとめによると、AED使用による除細動(電気ショック)の実施率は近年、少しずつ上昇してきたが、コロナ下の20年には4.2%と前年の5.1%から大きく低下。また、市民が目撃した心肺停止の傷病者で、1カ月後の生存率は18年、19年の各13.9%から、20年は12.2%に急落した。
これまでのデータからは、除細動の適応がある人にAEDを使用すれば、119番しただけの場合に比べて約6倍に当たる対象者の53%を救命できることが分かっている。
同財団は、コロナ下でも救命処置をためらわないよう改めて要請。処置する人はマスクを装着し、倒れた人がマスクをしている場合はそのまま、マスクをしていない場合は口と鼻を覆うように布などをかけることでリスクは避けられるとした。