人はとかく先入観に流されがちだ。先日、松江市内であった求職者雇用支援の協議会に出席し、島根職業能力開発促進センター(ポリテクセンター島根、松江市東朝日町)の離職者訓練受講者数について説明を受けた▼コロナ禍で影響を受けた飲食や小売業からの離職者の受講が増えているはずだ-。そんな先入観を持って臨んだ。ところが、宿泊・娯楽関連からの受講者こそ増えていたものの、飲食や小売業はコロナ前と同等、もしくは減少していた▼同センターの幹部に理由を聞いても、明確な答えはなかったが、帰り際、旧知の経済団体幹部がヒントをくれた。「飲食業は雇用調整助成金が効いている」。営業時間に制約を受けても、国の支援を元手に、経営者が歯を食いしばって努力している結果だろう。飲食業だけではない。島根の1月の有効求人倍率(季節調整値)は1・60倍で、都道府県別では福井(1・83倍)に次ぐ高水準だ▼さて、こちらはどんな影響を及ぼすのだろうか。開始から既に1カ月が過ぎたロシア軍によるウクライナ侵攻の話。原油高に加え、輸入小麦の価格高騰によりパンや麺類のさらなる値上げは避けられそうにない▼ロシアが主要産地の製材やレアメタル(希少金属)の輸入が停滞して価格が一段と上昇するなど、想定していなかった影響が出るかもしれない。先入観に流されず、時機を見た臨機応変な対応が求められる。(健)