職場や学校で新型コロナウイルス感染者が確認されても濃厚接触者の特定作業は基本的に必要ないとした、政府の基本的対処方針に対し、島根県が29日、従来通り濃厚接触者調査による感染者の早期特定を続ける考えを示した。政府方針に沿わない対応となるものの、感染拡大のリスクを下げるには無症状感染者の通勤や通学を防ぐことが重要と判断した。
まん延防止等重点措置の解除に伴い政府が17日に改定した基本的対処方針では、保健所業務が逼迫(ひっぱく)している地域で、職場や学校での濃厚接触者の特定作業や、社員らに対する一律の出勤制限を求めないとした。各県が感染状況に応じて対応を判断する。
29日に記者会見した県感染症対策室の狩野ゆう子調整監は「島根県では濃厚接触者を疫学調査で追える状況にある。感染拡大を少しでも抑えるために、早期封じ込めは重要だ」と説明し、従来通りの調査を続ける方針を示した。
濃厚接触者の自宅待機期間は原則7日間。医療機関や介護、障害者支援施設の職員の場合は、検査を受けて陰性を確認することなどを条件に、濃厚接触者であっても働くことを認める。
2月21日から3月29日までに県が公表したクラスター(感染者集団)は66件で、内訳は学校や児童クラブ20件、保育施設19件、事業所と高齢者施設各10件など。人口10万人当たりの1週間の感染者数(27日時点)は94・0人で、松江市163・8人のほか、浜田市120・0人、益田市117・3人、大田市97・0人と、県西部でも感染が目立つ。
(佐々木一全)