松江市内の金属加工メーカー2社が、共同受注の窓口となる新会社「松江クラフトマン」を立ち上げた。双方の得意分野を生かし、部材の熱処理とメッキ加工を一貫して請け負う協業体制で受注拡大を狙う。
野原熱錬工作所(松江市東出雲町出雲郷、金崎芳男社長)とヤスイ(同町揖屋、安井美那子社長)が共同出資し、3月下旬に設立した。資本金200万円で、本社はヤスイに置く。
野原熱錬は金属材料の耐久性を高める熱処理加工、ヤスイは被膜コーティングのメッキ加工をそれぞれ外部企業から請け負っている。両社とも新型コロナウイルスの影響で一時、受注が大きく減少。その後回復したものの、経営の安定化に向け受注の幅を広げようと連携を決めた。
両社が手掛ける切削や研磨などの機械加工も合わせ、熱処理とメッキの一貫生産の請け負いは全国で数少ないという。発注者側からすれば見積もりや注文手続きが1社で済み、納期短縮などのメリットがある。
新会社は7~9日に名古屋市であった商談会に出展。20社以上から引き合いがあり、共同受注で第1号の契約もまとまった。
金崎社長は「両社の設備があれば大抵の依頼はこなせる。従来と異なる分野にも受注を広げたい」と手応えを口にする。安井社長は「近隣の企業とのネットワークも強み。大口の仕事を獲得できれば、地域に波及できる」と話した。(部田寛孝)