自慢のチューリップを紹介する島田一嗣さん=安来市荒島町
自慢のチューリップを紹介する島田一嗣さん=安来市荒島町
島田さんが整備した花木園。園児や女性グループ、島田さんの憩いの場となっている=安来市荒島町、14日午後
島田さんが整備した花木園。園児や女性グループ、島田さんの憩いの場となっている=安来市荒島町、14日午後
島田さんが毎年制作、記録している評価表。満足いく開花ではなかった場合、容赦なくバツが付く=安来市荒島町
島田さんが毎年制作、記録している評価表。満足いく開花ではなかった場合、容赦なくバツが付く=安来市荒島町
自慢のチューリップを紹介する島田一嗣さん=安来市荒島町
島田さんが整備した花木園。園児や女性グループ、島田さんの憩いの場となっている=安来市荒島町、14日午後
島田さんが毎年制作、記録している評価表。満足いく開花ではなかった場合、容赦なくバツが付く=安来市荒島町


 花は元々好きだったため、農業高校などから買った花の苗を植えるなどして趣味として楽しんでいた。ある時、たまたまチューリップを育てた際に、高く成長する姿や鮮やかな色を着ける厚い花弁にほれ込んだ。チューリップを見た周囲の人々が喜ぶ姿も後押しとなった。その後、「自宅前の土地にチューリップ園を造ろう」と思うのに、それほど時間はかからなかった。

 

 ▼洗練に向け「評価表」
 今では、より品質の高い花をそろえた園にするため、植えた花の品種とその購入元を毎年記録し、咲き具合に満足行かなかった花を選別する「評価表」を制作するほどのこだわりよう。「県総務部時代を知る人には『人だけでなく花まで評価されるとは、花も大変ですね』と言われた」と笑う。

 30年かけただけあって園は洗練され、「バツ」はかなり減ったが、毎年、新種に興味を引かれて買ってしまうため、全く同じ花の園になったことはない。「新種を買わなければ全部きれいに咲くんだろうけど、それじゃ面白くない。『面白い色だなぁ』と思ったらやっぱり買ってしまう」と話す。最近は、特にスカイブルー色の品種を探しているとのことだ。

 手塩にかけた花たちへの愛情は海よりも深い。夜が暖かい日は園のベンチに座り、じっと花を眺めるという。「リッチな時間」と称するひとときは、2時間に及ぶことも。また、花を数日おきに写真に収め、毎年の年賀状に使う「親ばか」ぶりものぞかせる。

 島田さんは、「続けてきたのは単に好きだからで、高邁(こうまい)な理念や哲学があるわけじゃない。道楽の延長。ただ、園を見た地域の人々がハッと驚く『玉手箱』のような存在になれればうれしい」と照れくさそうに語った。

 島田さんによると、今年の花は13日にあった低気圧による強風の影響で、残念ながら例年よりも早く見頃が過ぎそうだという。しかし、これだけこだわり抜かれた島田さんの園は、来年も今年以上にきれいな花を咲かせてくれることだろう。