革靴を手に、開業の思いを語る土次達也さん=出雲市塩冶神前3丁目、LEATHER STYLE FAVOR
革靴を手に、開業の思いを語る土次達也さん=出雲市塩冶神前3丁目、LEATHER STYLE FAVOR

 こだわりの一足を見つけてもらおうと、出雲市の男性が4月下旬、同市塩冶神前3丁目に高級革靴専門店を開店した。足が大きく、思い通りに靴を選べなかった体験が原点。「山陰の男性が『革靴沼』にのめり込めるような店にしたい」と腕をまくる。

 店主の土次達也さん(42)は足のサイズが28センチで、おしゃれへの関心を高めた10代の頃から行き場のない思いを募らせた。

 前職は自動車の電装整備士。激務で体調を崩し、自分のペースで働きたいと考えた時、革靴への思いがこみ上げた。

 革靴の魅力は「自分だけの一足になる」ところだという。ブラシをかけ、クリームを塗り込んで磨いてやれば、20年以上持ち、傷や風合いが過ごした年月を映す。「手のかかるやつほど愛着が湧くというか。やめられない」と笑う。

 店では土次さんがほれ込んだ国内7ブランドの革靴や革製品に加え、自ら企画したローファーなどを取り扱う。靴の大きさは25~28センチで、価格帯は2万5千~9万円。嗜好(しこう)性が高いため、インターネット通販よりも試着ができる実店舗に商機を見いだす。

 店名は「LEATHER STYLE FAVOR(レザー・スタイル・フェイバー)」。お気に入りの一足を見つけ、それぞれがおしゃれの流儀をつくり上げてほしいという思いを込め、商店を指すストアではなく、スタイルにした。「みんなが日常にもっと気楽に革製品を取り入れたら、もっとおしゃれな山陰になるはず。革の魅力を発信し、地域をすてきにしたい」と話す。
  (今井菜月)