消防団員が入団を誘おうと若者宅を訪ねたら、代わって出てきた母親に「うちの子は飲めませんので…」と門前払いされたという笑うに笑えない話がある。下戸は入団できない規則などもちろんないが、消防団は飲み会と結びついた印象が強いようだ▼団員の報酬を団でためているところもあり、皆で使う方法として親睦会や慰労会が増える面はある。報酬の問題は、なり手不足の中で注目され、引き上げたり個人支給にしたりと待遇改善が進む▼下戸の筆者も団に籍を置くが、不規則な仕事柄、あまり活動できていない。活動が少ないのに一律の報酬が個人に支給されるとなると複雑だ。日頃の点検や訓練に参加する中核の団員が相応の報酬を得る仕組みが望ましいと思う▼組織の在り方に関してもう一つ、操法大会に重きを置く体質を改めるべきだとの声が高まり、見直されつつある。消火の基本技術を競うが、細かすぎる規定や厳しい練習が疎まれ「消防団離れ」を招いているという。この話題を伝えた11日の本紙記事には現役団員や経験者から共感の声が届いた▼田植えの所作を象徴的に演じる花田植えという祭りがあるが、操法大会はそんな伝統行事の一種のようにもみえる。団員の価値観や生活様式が多様化する中、時代に合わなくなっている。近年増える水害や地震など、災害はさまざまで、消防団に求められる活動もまた多様化している。(輔)