トヨタ自動車の2023年3月期決算の営業利益は、過去最高益だった22年3月期の2兆9956億円から一転して減益となり、2兆4千億円になる見通しだ。販売が増えることなど営業面の努力で8150億円、円安の影響で1950億円の増益要因はあるものの、労務費などの上昇による諸経費の増加で4400億円、原価改善の面で1兆1500億円の減益要因が発生するからだ。

 注目すべきは、トヨタの「お家芸」である原価改善でマイナスになってしまう点だ。23年3月期も引き続き3千億円の原価低減を行うが、鋼材やアルミなどの資材価格高騰により1兆4500億円もの減益要因が発生、差し引き1兆1500億円のマイナスとなってしまう。

 コスト削減を地道にやっても、資材の購入価格の上昇で打ち消されてしまう構図だ。22年3月期も資材価格の高騰で6400億円の減益要因が出たが、それがわずか1年で倍増。いくらトヨタといえども企業の自助努力で吸収できるレベルではないのだ。

 5月11日に決算を発表したトヨタの近健太副社長は「資材価格の高騰による...