ふるさと歳時記用のイラストを描き上げる松谷みゆきさん=2011年10月
ふるさと歳時記用のイラストを描き上げる松谷みゆきさん=2011年10月

 昨年に58歳で亡くなった浜田市後野町のイラスト作家、松谷みゆきさんの遺作展が10日、浜田市世界こども美術館(浜田市野原町)で開かれる。松谷さんが生前、夫と交わしていた「個展を開こう」という約束を地元有志が後押しし、実現する。入場無料で19日まで。

 同町出身の松谷さんは浜田高校を卒業後、専門学校でイラストを学んだ。市内の印刷会社勤務を経て1988年からフリーで活動。92年から、全国で販売されるカレンダー「ふるさと歳時記」の挿絵や、地元企業ロゴ、絵本の挿絵などを手掛け、昨年5月にガンで亡くなった。

 同町の地域づくり団体「植(う)える花夢(かむ)」で活動をともにした長谷川邦博さん(74)が、葬儀場に飾られた原画を見て「作品がしまわれるのはもったいない」と、団体の会で個展を開こうと提案。夫の敏秀さん(71)の了承を得た。会員約20人で準備を重ね、開催費も確保した。

 展示するのは、ふるさと歳時記の挿絵など約70点。こいのぼりや海開きといった田舎の原風景を、アクリル絵の具で柔らかなタッチで描いている。挿絵のアイデア探しのため、写真が趣味の敏秀さんと全国各地に出掛けては「将来2人で個展を開こうね」と話していたという。

 敏秀さんは「会の後押しで個展を開くことができ感謝している。彼女も喜んでいると思う」と話した。

 午前9時半~午後5時で、13日は休館する。
      (中村成美)